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    サラリーマン「確定申告」入門、どのくらいお金が戻るか

    毎月の新聞代、スーツ代から取引先のお中元やお歳暮、英会話スクール代まで。これ全部、経費で認められ、お金が戻ってくるって本当? 

    ■キャバクラ、ゴルフも経費扱いOK

     収入を増やすのが難しい昨今、せめて手元にあるお金を減らさないようにしたい。そう考えているビジネスマンにとって朗報があります。それが「特定支出控除」制度の改正です。

     制度を説明する前に、税金の仕組みについて簡単におさらいしておきましょう。稼いだ分の収入から、必要経費や控除などを引いたものが所得です。この所得を基準にして、所得税や住民税などの税金が決まります。つまり経費が多くなるほど、所得が減るので納める税金も少なくてすむ。だから自営業者は、経費として申告できる領収書を集めようとするのです。

     一方、会社員も取引先におごったり、スーツを買ったり、自腹で経費を使う機会があります。それなのに必要経費を申告できないのは不公平ではないか?  という意見が一部でありました。しかしこの指摘は必ずしも正しいとは言えません。会社員には「給与所得控除」という控除があるからです。これは収入ごとにいくら控除されるかが定められています(表参照)。たとえ実際には使っていなくても、これだけの金額が必要経費として見なされるのです。

     実はこれまでも、会社員が必要経費を申告できる「特定支出控除」の制度は存在しました。ただしそのハードルが高く、扱われるのは「給与所得控除」を超えた金額。つまり年収800万円の会社員であれば、必要経費を201万円使って初めて1万円の額が控除として認められる。くわえて対象になるのは転居費や研修費など、日常的にそれほど使わないであろう用途に限られていました。要は不公平だという批判をかわすためにつくられたような制度で、利用しているのが年間で10人にも満たなかったのです。そこで平成25年から(申告は26年から)制度が改正されました。

     新しい制度は何が変わったのか。まず足切り額が、給与所得控除を超えた額から、その2分の1を超えた額へと一気に下がりました。たとえば年収800万円なら、100万円を超えることが条件になります。

     さらに適用される経費の範囲も拡大しました。多くの会社員にとって嬉しいのは、よく使う図書費、衣服費、交際費が「勤務必要経費」として認められるようになったことです。たとえば図書費。仕事に関連するものなら、書籍に限らず、新聞でも雑誌でもOK。情報収集に必要という理由があればお咎めなしでしょう。

    スーツ代は、衣服代として申告できます。私生活でも利用できる靴下や下着は難しいかもしれませんが、ワイシャツやネクタイは対象になる。またクールビズを推奨している会社で、着用する服の規定がある場合は、ポロシャツも認められる可能性があります。

     もっとも使い勝手がよさそうなのが、交際費です。「得意先や仕入先に対する接待、供応、贈答などの支出=交際費」という国税庁の定義に従えば、その対象範囲は結構広い。得意先と一緒に行った飲食店はもとより、スナック、キャバクラ、ゴルフでも認められるでしょう。現在は取引がない相手でも、新規開拓という目的なら該当するし、お中元やお歳暮にかかる費用は全く問題ありません。

     ただしこの「勤務必要経費」は、図書費、衣服代、交際費あわせて65万円までと上限が決められています。使ったら使っただけ、ということではないのでご注意ください。

     職務に必要な技術や知識を習得するため、使用した研修費や資格取得費も「特定支出控除」の対象です。英会話スクールへ通う、中間管理職がマネジメントのセミナーに参加する。受講料だけでなく、交通費も含まれるというのが一般的な解釈です。また今までは弁護士、税理士、公認会計士など、特定の業務を営める資格取得は控除の対象外でしたが、改正によって認められるようになりました。

     その他、単身赴任の会社員が自宅に帰る際の交通費は帰宅旅費、転勤に伴う引っ越し代や宿泊費が転居費として控除に含まれます。通勤に必要なガソリン代、車両の修理代などは、通勤費として計上できるはずです。

     一部、推測で語っているのは、今年から適用される制度で、過去の事例がないからです。税務署も様子見でチェックが甘くなるのではないか、という見方もあります。だからこれはダメだろうと勝手に線引きせず、使えそうな経費に関しては自分の名義で領収書をもらうなりして、申告の材料になりそうなものは捨てないでおきましょう。

     確定申告する際、税務署に向かう前にしておくべき手続きがあります。それは会社に「こういう経費を使いました」と報告し、証明書に承認のハンコを押してもらうことです。いかにも手間がかかりそうですが、ハンコを押したからといって会社が金銭を払うわけではありません。「仕事のために必要だったんです」と押し切れば、おそらく認めてくれるのではないでしょうか。また税務署としては会社の判が押してあることが前提になるので、よほど高額でない限り、書類を丹念にチェックする可能性は低いと思います。

    ■医療費10万円以上使った年も忘れずに! 

     改めて「特定支出控除」を見直すと、ハードルは今までよりも確実に下がりました。しかし年収700万円の会社員の場合、認められる必要経費は95万円を超えた額から。それも「勤務必要経費」は65万円が上限なので、それ以外の通勤費や研修費などで30万円以上の出費が必要になります。これだけの額を日常的に使う会社員は、それほど多くはいないような気がします。だから資格取得のため学校に通うなど、支出がかさんだ年に活用する、という意識で向き合うのがいいでしょう。

     このほかにも会社員が自ら確定申告をしなければいけないときがあります。たとえば副収入があって、必要経費を差し引いた所得が20万円を超えた場合。税務署には会社から誰にいくら払ったという支払調書が回ってきますから、申告したほうが無難です。もし社内規定で副業が認められていても、あまり知られたくないという人は、確定申告書の「住民税に関する事項」欄の「自分で納付する」にチェックを入れましょう。そうすると納付書が自宅に届いて、会社には情報が伝わりません。

     また、家族分を含めて医療費を10万円以上使った年、住宅ローンで家を買った年、寄付をした年は確定申告を忘れないようにしましょう。税金が必要以上に天引きされていれば、確定申告によって戻ってきます。たとえそれがお小遣い程度の額だとしても、この時代には貴重なお金。会社員も普段から給料明細に目を通して、節税がおすすめです。
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