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    カリウムの単位mEq/Lと摂取量との相関は必ずしも順相関ではないという点

    透析患者なら採決結果でリン、カリウムの値を注意されることも多いだろう。
    特に高カリウム血症は重大な不整脈を引き起こし死に至る場合もあるので
    カリウム摂取量は特に気を付けなければならない。

    一般的に食品成分表で示されるカリウムの値はmg(ミリグラム)表記なのだが
    採決結果の値の単位はmEq/L(ミリ当量/リットル)であり分かりにくい。
    メックともいわれるmEqについてまず解説したい。

    メックは「物質量(mmol)×イオンの価数」で示される。カリウムは1価なので1倍だが
    カルシウムは2価なので2倍になる。

    カリウムの原子量は39で1価なので1meq=39.1mg(小数点込み)となる。

    カリウムの基準値上限の5meq/Lの場合、195.5mg/Lとなる。
    人間の血液量は体格にもよるがおおむね5~6L程度なので
    簡易的に5Lと仮定すると血液全体のカリウム量は「977.5mg」となる。

    あれ、なんか摂取量に比べて少なくない?と思ったのは正しい。
    カリウムのほどんど(98%)は細胞内に存在し、血液などの体液中に含まれる量は
    全体のわずか2%に過ぎない。
    更にその比率は血液PHなどにも依存するのであった。

    【仮定】
    血液量は5Lでその他の体液は存在しない(体液はすべて血液)
    尿や汗、便から排泄されるカリウムをゼロとする(排泄されない)
    1日の食事による摂取カリウム量を3000mgとする(76.7meq)
    食事直前のカリウム値を5meq/Lとする
    3日間(最長の透析間隔)でのカリウム値上昇値を算出する

    977.5mg+3000×3日=9977.5
    1995.5mg/L
    51.0meq/L

    当然これでは死亡確定のカリウム値である。

    摂取した3000mgに2%を掛ける必要がある。

    9000×2パーセント=180
    977.5+180=1157.5mg
    231.5mg/L
    5.92meq/L

    以上より1日3000mgのカリウム摂取量×3日後のカリウム値変動は
    5→5.92meq/Lとなった。

    あれ、全然増えてないじゃん余裕じゃん?
    これもやはり計算に誤りがある。
    摂取した9000mgのカリウムの80%が確実に細胞内に入っていることになるのだ。
    細胞内に入れられるカリウム量には上限があり、定常状態(カリウム過多でない状態)なら
    80%入るが、既にかなり高い値となっている状況下で9000mgのうち80%を
    細胞内に入れられるかというと無理な話だ。

    5.92meq/L以上であり、かつ51.0meq/L未満としか言えない。
    当然51とかになる前、8程度で心停止に陥るので
    実際には6~7に収まると予想される。

    仮定では簡略化のためにあり得ない条件を付けたが実際には
    パラメータは刻一刻と変化しているものであり
    とある2つの期間で同じカリウム摂取量で過ごしても
    検査結果は異なるだろう。

    結局のところ1日3000mgは多すぎであり、
    末期腎不全(非透析)の制限である1500mgはやりすぎではあるが
    2500mg程度にとどめた方が無難であろう。
    (血液透析患者において一般的にカリウム摂取量制限はされていない)
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