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先日放送されたNHK番組、ためしてガッテンの内容は
睡眠導入剤ベルソムラが糖尿病を含む高血糖改善に役立つ、といった趣旨であった。

ベルソムラはオレキシンという物質の働きを抑える新しい睡眠導入剤である。

オレキシンとは、神経ペプチドの一種である。 摂食中枢として知られる
視床下部外側野限局するニューロンに局在し、
またラットやマウスに脳室内投与すると摂食量が上昇すること、
絶食によって発現が亢進することなどから、当初、摂食行動の制御因子の一つとして注目を浴びた。
それだけではなく睡眠と覚醒を制御する因子とされている。

上の説明の通りオレキシンが増えると摂食量が増えるということから
オレキシンを阻害することで摂食量が減り、その結果血糖値が改善することは
想像できるものではある。

しかしながら番組ではベルソムラを服用することイコール血糖値が下がると
誤認するような構成であり
ベルソムラは当然ながら糖尿病の適用を取得していないので
薬事法で禁止されている適用外処方を煽るような印象を与えかねない。

人間がオレキシンという物質に支配されているのかは定かではないが
強靭な意思があれば食事量を制限することができ、
血糖値をもコントロールできるはずである。
ただし膵臓ランゲルハンス細胞が完全に死滅しているようなⅠ型糖尿病は除くが。

基本的にNHKの番組では商品名を隠すといった処理がほどこされているのだが
ガッテンでは「ベルソムラ」という表示がばっちり写っていたのが問題である。
放送倫理規定はどうなっているのか、出演していた医師と
MSD（ベルソムラを作っている製薬メーカー）との利益相反の関係など
謎が多いところである。

糖尿病外来で患者が「血糖値下げるためにベルソムラくれ」と
殺到してなければいいのだが。
テレビ番組はいつぞやの納豆ブームなど影響力が計り知れないので
作成側は細心の注意を払ってもらいたいものだ。

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